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2007年3月18日 (日)

いっぺん、死んでみる?

 『地獄少女』というのがあるのなら、『天国少女』があったっていいのではないか。

 正午だけに繋がるホームページ「天国通信」にアクセスし、自分のいちばん好きな人の名前を送信すると、その人は天国少女によって天国に流されるのである。しかし、人を好まば穴二つ、人を天国に流すからにはそれなりの代償を支払わねばならない。依頼人自身も天国に流されるのである。死んだあとの話だけどね。

 なにしろ、好きな人と天国で再会して、永遠にそこで過ごせることが約束されたようなものであるから、現世なんぞどうでもよくなる。天国通信は大人気、モテるやつ、人望の厚いやつ、尊敬されてるやつ、立派なやつ、とにかく人に好かれるやつは、たちまち天国に流されてしまう。

 その結果、現世には、いずれ死後に天国に流されることを約束された誰にも好かれない厭なやつばかりが残ることになる。

 あ。これって、ある種のカルト宗教のユートピアじゃないのか?

 まあ、この話にはオチがあって、天国流しになるやつがいなくなったころ、天国少女はにやりと笑って地獄少女に変身し、現世に残っているやつをまとめて地獄流しにしてしまうのだった。



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コメント

 地獄天国というのは場所の違いではなくて、時間軸の違いではないだろうか。地獄は閉鎖された環境で、そこで火の山とか何とかエネルギーを消費しつづけるから、エントロピーがどんどん増加して行く。
 それを防止するために地獄は人間の魂というエントロピーの少ないものをかき集め、破局を防ごうとする。でも、最終的に熱的死を迎えてしまう。この熱的死の状態を人は天国と呼ぶ〜〜♪

投稿: 林 譲治 | 2007年3月18日 (日) 22時10分

天国に流されたときの状態が永遠に保存されるのであれば、
美少女や美幼女、美少年や美幼年を、賞味期限が切れる前に天国に流しておこうとするロリコンやショタコンが続出するかもしれない。

投稿: ROCKY | 2007年3月18日 (日) 23時58分

>林譲治さん

 地獄のエントロピーを減らすには、人間の魂を送り込むだけでは不十分ではないのでしょうか。人間の魂にエントロピーをくっつけて、地獄の系外である現世に転生させて捨てればいいのです。そうすれば、地獄はこの先かなり保つでしょう。

>ROCKYさん

 気持ちはわからんでもないなあ(笑)。十四、五くらいで地獄に流しておきたい妖精みたいなコはときどきおりますからなあ。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年3月19日 (月) 01時45分

|人間の魂にエントロピーをくっつけて、地獄の系外である現世に転生させて捨てればいいのです。

 転生にもエネルギーが必要なので、地獄の破局は不可避……あっ、地獄にはあの最強の悪魔がいたんだ! マクスウェルの悪魔が。

投稿: 林 譲治 | 2007年3月19日 (月) 11時46分

>林譲治さん

 そうか、運動エネルギーの高い分子だけを選り分けて地獄のほうに落とすから、地獄の温度はどんどん高くなり、“地獄-現世-天国”の系の中では、エントロピーが下がるということだったのかー。

 とすると、系外からマクスウェルの悪魔に情報を供給してやる仕組みがないと、悪魔はどんどんアホになってゆきそうな気もするんですが(^_^;)。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年3月21日 (水) 06時19分

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