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2007年2月24日 (土)

SETI@home がついに見つけた

SETI Finally Finds Something (Slashdot)
http://science.slashdot.org/article.pl?sid=07/02/21/2326240

 ――って見出しを、RSSリーダがパソコン画面の隅に知らせてきたので、「ええっ!?」と思って即クリックしたら……そ、そういうことか。まあ、たしかに“見つけた”にはちがいない。

 上記エントリからリンクされている詳しい記事 Missing laptop found in ET hunt によれば、ミネソタ在住のプログラマの奥さんがノートパソコンを盗まれたのだが、奥さんのパソコンでも SETI@home の解析用クライアントソフトを走らせていたのが幸いし、パソコンを取り戻すことに成功したということだ。

 この geek なダンナは、バークレイの SETI@home 総本山のデータベースをモニタして、奥さんの SETI@home アカウントで解析済みのワークユニットを自動的に送信してくる IP アドレスを掴みミネアポリス市警に通報、市警はプロバイダに協力させて盗品パソコンの“リアルな”所在を掴んだという顚末。ダンナの執念もたいしたもんだが、動いてくれた市警がえらいな。それとも、こういう捜査はアメリカならふつうにやってくれるんだろうか? そのへんの事情がいまいちわからん。日本なら、駆け込み先によって大きな差が出そうな気がするよなあ。地方警察がサイバー捜査なんたらというような専門部署を持っているところなら、捜査権限なしで掴める証拠を揃えてそこに直接通報すれば、広域性のある組織犯罪である可能性も考慮して動いてくれるのかもしれないが、多くの一般ユーザは、このプログラマのダンナみたいには証拠を揃えられないし、そもそも適切な駆け込み先がわからないはずだ。そのへんの交番で相談しても、「IP アドレスってなに?」と言われて、自転車の盗難と同じように扱われちゃうのがオチだろう。

 理屈のうえではあたりまえとはいえ、SETI@home にこんな“利用法”があったとはね。SETI@home のサイトでも、ちゃっかり Yet another reason to run SETI@home (SETI@home する理由がまたひとつ)などと報じている。

 だけど、それこそ理屈のうえでは、決まったサーバと自動的にデータのやりとりをする常駐ソフトがパソコンに入っていれば、SETI@home でなくたって、今回のような奪還劇は可能なはずだ。シマンテックでもマカフィーでもマイクロソフト(笑)でも、正規ユーザのアカウントで張られたセッションの生アクセスログを、きちんと本人確認した正規ユーザの求めに応じて提供するといったサービスをはじめてくれれば、奥さんのパソコンを取り戻してやれるダンナの数はいくらか増えるだろうが、まあ、そんなサービスを公式にメニューに入れたって、いまはペイせんでしょうなあ。

 しかし、そのうち、アプリケーションのアカウントと通信インフラ利用のためのアカウントが分離している機器であれば、こうしたサービスの利用価値と需要は大きくなってくるはずだ。高機能化したケータイと IP ネットワークが統合されてくる過程で、利用シーンによっては切実な需要が出てくるかもしれん。いわゆるユビキタス社会とやらになってくると、サービスレイヤー間でアクセス情報・利用情報を照合して“通常では考えにくい利用シーン”を自動的に検知し、それを正規ユーザの正常利用ではない可能性が高い状況の発生として、とくに挙動をマークするなどといったインテリジェントなユーザ保護サービス(あるいは、捜査手法)が出てくるかもしれないなあ。もっとも、そこまでやるなら、情報機器すべてに生体認証機能を搭載したほうが、社会全体でのコストは安く上がるかもしれないが……。

 パソコンが戻ってきた奥さんによれば、「geek はダンナにするにはいい」のだそうだが、otaku はどうだろうなあ? フツー人が geek を配偶者にするとなにかと便利かもしれないが、otaku の場合は夫婦揃って otaku じゃないと、あんまり旨みはないような気がする。



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コメント

>geekはだんなにするにはいい

当然ご存じでしょうが、

http://cruel.org/freeware/geek.html

ですね。
10年以上たっても通じてるってことのようですね。

投稿: 修理屋ア | 2007年2月26日 (月) 09時26分

>修理屋アさん

 いまとなっては、geek を「おたく」とするのには、かなり違和感があるんですよ。日本語の「おたく」は、もっと意味領域が広いと思います。技術系のおたくに絞れば、geek に近づいてくるかと思いますが、私の感覚では、geek は技術系おたくの中でも、とくに“みずから手を動かしてなにか作ったり修理したり改造したりするおたく”という意味合いが強いように思いますね。geek と聞くと、私には野尻抱介さんや林譲治さんの顔がぱっと浮かびます(^_^;)。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年3月 4日 (日) 02時02分

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