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2007年2月12日 (月)

『ITロードマップ〈2007年版〉情報通信技術は5年後こう変わる!』(野村総合研究所技術調査部/東洋経済新報社)

 野村総合研究所が現時点の調査をベースに、二○一○年あたりまでのITの進歩を推測したレポート。五年後というのが妥当なところで、この業界、十年後まではなかなか読めない。いまの状況を十年前におれが予測できていたかというと、方向性はだいたい合っていたとは虚心坦懐に思うものの、個別の技術の出現や普及までは、とてもじゃないが予見し得ていたとは思えない。ヒト・カネ・モノ・情報を潤沢に持ったシンクタンクといえども、現時点では本書くらいの予測が精一杯だろう。そもそも、この種の予測は、あとで振り返ってみたときの“ハズレかた”こそが面白いわけなのである。あとで楽しむためにも、いま、これくらいの予測を眺めておくのも悪くはない。

 とはいえ、ITに疎い方以外には、あまりお薦めできない。そういう方々にはそういう方々向けの本がある。本書で取り上げられている個々の要素技術にさっぱり馴染みのない方が読んでも、無味乾燥でさっぱり面白くないと思う。バラバラには頭に入っているものが、野村総研的ロードマップの中に整理されているところが、IT関係者には面白いし、参考になるといった感じだ。セマンティックウェブやサーバの自律運用技術などについては、領域限定的な人工知能技術の実用化をかなりロングショットで期待しているようなところがあり、ここいらについては、おれのサラリーマン仕事とは別に、SFファン的にも興味津々である。

 IT業界人必読、SFギョーカイ人は専門分野によっては必読といったところか。野村総研が予測できる程度のことも考慮に入れていないSF作家ってのは、ちょっと論外だと思うぞ。



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