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2007年1月 5日 (金)

ついでにもひとつ《女囚さそり》

 梶芽衣子を超える《さそり》があろうはずもないのだが、まだ観たことがなかった『新女囚さそり701号』をついでに Movie Circus(東映)@ShowTime で観た。二代目さそりは、まだ初々しい多岐川裕美。多岐川さそりは一九七六年公開で、調べてみると、『七瀬ふたたび』の三年前、『復活の日』の看護婦さんの四年前ということになる。

 ストーリーはソツなくまとまっている。というか、あきらかに意図的に非現実的なB級テイストを狙った伊藤俊也監督の梶さそりと比べると、ストーリーも演出もまともすぎてインパクトがない。それよりなにより、やはり多岐川裕美では可愛らしすぎて凄みに欠ける。さそりには“目力(めぢから)”がなくてはならないから、多岐川裕美に白羽の矢が立ったのはわからなくもない。当時“目力”のある女優といえば、多岐川裕美は確実に上位に挙がったろう。が、梶さそりの“目力”が強烈すぎて、多岐川さそりがどうしても霞んでしまうのである。視線に圧力があったとしたなら、梶さそりの視線はレーザーのように狭い一点に集中し鋼鉄の板をも貫きそうなのに対して、多岐川さそりの視線はビームの焦点がちょっと大きく、破壊力が弱い。気づいている人は気づいているだろうが、多岐川裕美は、かすかに外斜視(あるいは、左右の視力が大きくちがう?)に見える。それが非常に謎めいた雰囲気を醸し出し、美形に加えて多岐川の大きな魅力になっている。だが、それは女囚さそり・松島ナミには向かない類の魅力である。これが女囚さそりでさえなかったら、多岐川裕美だって十二分に魅力的なんだけどねえ。

 最初からあんまり期待してなかったぶん、さほど落胆せず楽しめた。お人形さんみたいなふっくらした美形がさそりを演るというギャップは、それはそれで面白いかもしれない。褒めてるんだか貶してるんだか。

 ひとつ面白いことを発見した。この作品に三代目さそり夏樹陽子が、ワル代議士の秘書としてチョイ役で出演しているのだ。クレジットに名前も出ないほどのチョイ役である。これはどこかで誰かが書いているにちがいないと思い検索してみると、「CinemaScape-映画批評空間- [あらすじ] 新 女囚さそり701号(1976/日)」に裏事情が紹介されていた。これを撮っている最中、次回作出演をすでに多岐川は非公式に断っていて、カメリハを兼ねて三代目さそり候補の夏樹がチョイ役で出たということらしい。しかし、こんなことまで調べてる人がいるんだなあ。夏樹さそり以降はおれは観たことがないのだが、夏樹陽子はけっこういいのかもしれない。『ザ・ハングマン』だし。

 昨日、「おれはどうも、いまの日本がそろそろ《女囚さそり》的なものを欲しはじめているのではないかという気がしてならない」などと書いてから調べたら、おやまあ、二○○四年、二○○五年と、BS-i でテレビドラマ化されていたのか。うちは地上波とウェブしか観られんからなあ。DVDも出てるじゃん(こんな高いのは買わんけど)。ということは、この水橋貴己ってコが七代目さそりか。なんか、所属事務所ページの写真とDVDのパッケージの写真は、とても同一人物とは思えない。女ってのはコワいねえ。まあ、どこかで観る機会があるかもしれないから、憶えておくとしよう。



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