三が日は《女囚さそり》漬け
三が日はとにかくグダグダになってなにもせず酒と映画に溺れるということにしているので、今年もほーんとになーんにもしてない。年に三日くらいはそういう日があってもいいじゃないか。
今年は、新年そうそう、なんだか《女囚さそり》シリーズが無性に観たくなって、Movie Circus(東映)@ShowTime で金払って三本観た。まあ、千円ちょっとでこれだけ楽しめるのなら、ものぐさなおれにはレンタルよりも手軽でいい。
『女囚701号 さそり』、『女囚さそり 第41雑居房』
、『女囚さそり けもの部屋』
の三本、ひさびさに観たが、やっぱりいいねえ。むかしはけっこう深夜に地上波テレビでもやってたもんなんだが、最近やらないよなあ。いやもう、このころの梶芽衣子ときたら、小便ちびりそうにカッコいい。タランティーノが惚れるのもわかるよ。こんな女優さんは、いまはいませんねえ。これだけの“目力(めぢから)”がある人は、葉月里緒奈くらいだろうと思う。何度も言うけど、葉月里緒奈にさそりを演ってほしいねえ。
四作めの『女囚さそり 701号怨み節』は、あんまり好きじゃない。監督が替わって、シリーズの末期という感じだ。やっぱり、《女囚さそり》は、伊藤俊也監督と梶芽衣子のゴールデンタッグが最高だ。なかでも、三作めの『女囚さそり けもの部屋』が最高でありましょう。絶頂期の梶芽衣子にしか成し得ない鬼気迫る演技といい、スピーディーなストーリー展開といい、脇を固める成田三樹夫や李礼仙(李麗仙)――っつっても若い人は知らないだろうが、大鶴義丹のお母さんだよ――の怪演といい、マンガの映画化が持つ独特の様式美が頂点を極めている傑作だ。このころの東映はほんとにすごかったんだよなあ。七十年代独特のちょっとサヨクがかった象徴的な劇画風演出も見どころだ。
おれはどうも、いまの日本がそろそろ《女囚さそり》的なものを欲しはじめているのではないかという気がしてならない。弱い者いじめの世の中だからね。それに、なんの分野にせよ、だいたい三十年くらいでひとまわりするんだよな。さそりは、敵の銃を奪ったとしても、あまりそれを飛び道具としては使わない。さそりが“仕置き”をするときには、必ずドスや出刃を使う。怨念を込めた一撃を権力者の腹にぶち込み、あの大きな目をかっと見開いて相手の目を見ながらぐりぐりぐりぐりと内臓をえぐるのである。おれが思うに、中村主水の殺法は、多分にさそりの影響を受けているのではあるまいか。
ああ、それにしても、梶芽衣子、カッコいいなあ。こういう若い女優さんが平成の世にも出てこないかなあ。
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コメント
あ・・・まだ休みでしたか。うらやましいっ!
(いつもの事なのですが)今朝出勤のためウチから最寄り駅まで歩いていて、誰にもすれ違わず、非常に悲しかったです。ふう。
投稿: TOMTOM | 2007年1月 4日 (木) 19時38分
>TOMTOMさん
あけましておめでとうございます。今年は有休使って十一連休をかましてしまっておりますので、出社したら自分の席がなくなっているかもしれません(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年1月 5日 (金) 15時41分
あまり関係の無いことですが「ツタヤ」では、毎週水曜日は半額日。
「昭和残侠伝」シリーズにこだわっております。全作ないのが残念。
投稿: zazatto | 2007年1月 7日 (日) 17時40分
>zazattoさん
私はなぜか《昭和残侠伝》シリーズはほとんど観てないです。それでも少しは記憶にあるのは、むかしはけっこうテレビでもやってたせいかもしれません。橋本治が描いたという有名な駒場祭のポスターのやつですね(笑)。時代的には、橋本治くらいの世代が学生だったころにもろにぶつかっているわけですから、私はちょっと若すぎるかな。
そのくせ、《緋牡丹お龍》のシリーズはわりと観ているのは、単に女好きなのでしょう(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年1月 8日 (月) 00時40分