像を踏んでも壊れない
▼ゾウ「鏡に映った姿、自分と認識」 米研究チーム確認 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/news/JJT200610310003.html
米エモリー大学の研究チームは、ゾウも鏡に映った姿を自分であると認識する能力を持っていることを確認したと発表した。30日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に研究論文が掲載された。鏡映認知と呼ばれるこの能力は、人間以外ではサルやイルカで確認されており、動物の知能を測る手掛かりにされている。ゾウもこの能力を持っているのではないかとみられていたが、確認されたのは初めて。(時事)
こういうのを鏡象と言うのにちがいない。
いやまあ、それはともかく、ゾウが鏡に映ったゾウをゾウ認識しているかなんて、ゾウやって調べたのだろう? サルやイルカだって、そう見えるようにふるまっているだけかもしれず、ほんとうに鏡像を自分であると認識しているのかどうかわかったもんではない。というか、おれが鏡像のおれをおれと認識していることをおれは知っているが、ほかの人はどうなんだか、おれには“確認”のしようがない。どういう実験をしたのか、興味をそそるなあ。
ほかの人のことは知らんが、おれに関して厳密に言えば、おれは鏡の中のおれをおれだと思っているわけではなく、おれの像だと思っている。これらの賢い動物の場合、もしかしたら、鏡像を“自分の延長”だと思っている可能性もあるわけだ。動物が鏡像を“自分とは別のものだが、自分と同じにふるまうもの”と思っているのか、“自分の身体のようなもの”だと思っているのかを、どうやって区別したのだろう? 鏡像に危害を加えようとしたときにどうふるまうかとかを調べたのかなあ?
人間でも、いや、人間だからこそ、そっくりの双子などは、案外、心の深いところでは、お互いを“鏡像”だと思っている部分があったりするんじゃなかろうか? あ、そういえば、マナカナって、自分たちは二卵性だとさんざん言ってきたのだが、テレビ番組の企画でDNA鑑定したら、ほぼまちがいなく一卵性だったんだってね。本人たちも驚いていた。二卵性にしちゃ似すぎてるとずっと思ってたんだよ。
鏡ってのはほんとに面白い。そもそも“意識”というもの自体が、鏡映認知的な情報処理の産物みたいな感じもしないではないよな。
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コメント
月光の象番にならぬかといふ 飯島晴子
ぞうばん。同仏縁の象番。月光の象番。
これになったら一生ひとりぽっちだ。
象ってなんで象ってかくんだろうね。
投稿: 姫野 | 2006年11月 1日 (水) 19時21分
「おれはゾウ」と分かってるゾウ、米の実験で能力判明
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061031i506.htm
> ゾウの全身が映る約2・5メートル四方の鏡を飼育場に設置すると、ゾウたちは鏡の前で鼻先を口に入れてみるなど、自分の体を調べる道具として使う様子を見せた。さらに、目の上に白い印を付けたところ、3頭のうち「ハッピー」(34歳)は、鏡を見ながら鼻で印の辺りを触るしぐさを何度も繰り返し、「鏡を見て自分を認識する能力がある」と認定された。
つまり、人間が鏡を見ながら化粧したり、髭を剃ったりするように、直接見えないはずの自分の身体の一部を鏡を見て認識したということでしょう。
投稿: 小林泰三 | 2006年11月 1日 (水) 21時29分
>姫野さん
おお、それ、いい句ですね。なんかこう、恒星間世代宇宙船のメンテナンス係みたいな、いい感じがあります。五十年に一度か百年に一度か千年に一度壊れる部品を取り替えるためだけに毎日粛々とルーチンをこなす、時間が止まったような安らぎがいいす。
>小林泰三さん
うーむ、そういう実験なら、自分の“像”として認識している可能性は高いですね。でもやっぱり、“自分の延長”と認識している可能性も残ると思うなあ。
鏡映認知ができるというのは、つまるところ、他者というものを認識しており、他者の視点が想定できるということと等価なのではないかと思うのです。主観と客観が弁別できるってことですよね。
でも、林譲治さんの『ストリンガーの沈黙』じゃないですが、主観と客観という概念を持たないが高い知能を持つということもありそうな気がします。結局のところ、動物の主観に立てないかぎり、この手の実験には残尿感のようなものを覚えてしまうのですわ。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年11月 2日 (木) 01時37分
ついつい元ネタをチェックしてしまいました。ゾウさんたち(女性)の動画、とってもキュートです。
投稿: 村上 | 2006年11月 2日 (木) 16時57分
> 自分の延長
最近では、人間でも、そう思っている人は結構いるんじゃないでしょうか?
「えっ? 鏡の世界って本当はないの?」とか。
> マナカナ
そもそもどうして自分たちを二卵性だとおもってたんでしょう?
しかし、マナカナが一卵性だとすると、「ふたりっこ」が成長して、岩崎ひろみと菊池麻衣子に分化した理由が必要になってきましたね。
投稿: 小林泰三 | 2006年11月 4日 (土) 10時04分
>村上さん
動画がどっかにありました? 観たい人も多いでしょうから、公開されているのであれば、ここで教えてください。
>小林泰三さん
>そもそもどうして自分たちを二卵性だとおもってたんでしょう?
医者がそう判断したのを親から聞いたのでしょう。なんでも、DNA鑑定ができるようになるまでは、胎盤の数などで判定していて、それはあまり精度の高い方法とは言えないのだそうです。
>岩崎ひろみと菊池麻衣子に分化した理由
放射線でも浴びたんじゃないでしょうか。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年11月 4日 (土) 23時50分
> 医者がそう判断したのを親から聞いたのでしょう
「先生、この子達は一卵性でしょうか? 二卵性でしょうか?」
「う~んと、この感じからすると、二卵性!」
というような様子だったのでしょうか?
> 分化した理由
そう言えば、サンダとガイラも環境の違いでかなり分化してましたね。
投稿: 小林泰三 | 2006年11月 5日 (日) 20時49分
ゾウさんはこちらです。
http://www.pnas.org/cgi/content/full/0608062103/DC1
ついでだからイルカ君もどうぞ。
http://www.pnas.org/cgi/content/full/101086398/DC1/1
投稿: 村上 | 2006年11月 6日 (月) 19時03分
>小林泰三さん
サンダとガイラって、遺伝子も同じなんでしたっけ?
>村上さん
おおお、ありがとうございます。うーむ、わかってるように見えると言えば言えますが~(^_^;)。イルカの場合、エコーロケーションも絡んでくるので、ほんとにわかってるのかどうか、やっぱり疑問が残るなあ。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年11月 7日 (火) 23時40分