« 漫然と流しておけたら、それは“メディア”なのだろう | トップページ | B級グルメの至福 »

2006年9月11日 (月)

毒のあるサル

 さっき、どうぶつ宝石、じゃない、どうぶつイズム、じゃない、どうぶつアドベンチャーじゃない、そうそう、『どうぶつ奇想天外!』(TBS系)を漫然と流していたら、“毒のあるサル”の話をはじめたので、おれは「なに!?」とキリヤマ隊長のように顔を上げた。

 ニューギニアにいる毒を持つ鳥、ピトフーイはけっこう有名だが、はて、サルのような高等哺乳類が体内に毒を持つとは、ほんとうだったら驚異である。鳥類のピトフーイも、昆虫や爬虫類のように体内で毒物を生成するわけではないと考えられている。虫などの食いものに含まれているものが、蓄積され分泌されるらしい。もし体内で毒を生成するようなサルがおったら、これは大発見にちがいない。

 で、興味津々で観ていると、このサルは、タンザニア沖のザンジバル島に棲息するザンジバルアカコロブスなるサルで、現地では、このサルの肉を食べたイヌが死んでしまったと伝えられているそうなのだ。なんじゃ、伝聞か。で、しばらく観ていると、なるほどそういうこともあろうかという説明がなされた。つまり、この島には、栄養価が低く植物アルカロイドによる毒性の高い木の葉ばかりが生えており、サルが生きてゆくためには、それらをのべつまくなしに食っていなくてはならない。だものだから、体内に毒物が蓄積された状態のサルの死骸を食ったイヌが死ぬようなことも、あるだろうと考えられる――とのこと。まあ、そこまではよい。そんなこったろうと思った。

 が、このサル、体内の毒物を吸着させて早く排泄するために、山火事などでできた炭を食う“文化”を持っているというのを聞いて、おれは勝手に97へぇを出した。誰が教えたわけでもない。驚異だ。動物学者の千石正一氏が推測していたように、たまたま炭を食って気持ちがよくなった(まあ、たぶん、いつもより身体の調子がよくなったのだろう)やつがいて、その行動が“芋洗い”のように伝播していったということなのだろう。おれは『ジュラシック・パーク』の数学者・マルコムのように、“Life finds a way.”とつぶやいた。まったく生きものというのは、えらいもんである。

 結局、最初に期待したような“毒ザル”ではなかったわけだが、改めて疑問に思うのは、そもそもどうして哺乳類や鳥類は、体内で毒を生成するという方法を捨てて進化したのだろう? もしかしたら、進化の途上で、ヘビのように体内で毒を生成し、それを武器に用いる哺乳類や鳥類がおったのかもしれんが、仮にそういうものがいたとしても、ことごとく滅びてしまっているわけだ。なにか決定的な理由があるのにちがいない。哺乳類や鳥類にとって、毒を持つということには、種の存続にマイナスに働くなにかがあるのだろう。

 もしかすると、あまり知能が発達していない段階の生物にとって、毒を持つということは、“仲間の死骸を食べて生き延びる”というオプションを閉ざしてしまうからなのかもしれない。人間くらいに知能が発達してしまえば、仮にいま人間が突然変異で毒を持つようになり、仲間を食わなくてはならないような食糧危機に見舞われたとしても、免許を持った調理師とかが毒のある部位を取り除けて料理することができるだろうが、まだ知能の低い段階では、うかつに仲間を食ったらお陀仏である。結局、毒など持っていないほうが、社会を作る種としては有利なのかもしれない。考えてみれば、毒を持っている生きものは、社会を持たないものがほとんどだ。例外としては、ハチやアリなどがそうだろうが、彼らは非常に高度な社会を持っているがゆえに、毒をコントロールすることができているのだろう。

 まあ、大阪の街なかを歩いていると、どう見ても毒があるとしか思えない配色のおばちゃんがしばしば歩いているけれども、あれは実際には毒はないと思う。たぶん。とはいえ、念のため、噛みつかれたりしないように遠巻きにやりすごすことにしている。



|

« 漫然と流しておけたら、それは“メディア”なのだろう | トップページ | B級グルメの至福 »

コメント

とがりねずみやソレノドン
もぐらも毒をもっているものがいます
いずれも原始的な香りがする生き物ですが
吸血鬼も忘れちゃ行けません
>どうして哺乳類や鳥類は、体内で毒を生成すと
>いう方法を捨てて進化したのだろう

それに関しては以前ネーチャーで論文を読んだ
おばえがあります 例によって中身はすっかり
忘れてしまいましたが

投稿: かおる | 2006年9月11日 (月) 14時10分

ジェイムズ・P・ホーガンの『ガニメデの優しい巨人』にそんなネタがありましたね。

投稿: デモステネス | 2006年9月11日 (月) 21時36分

>山火事などでできた炭を食う“文化”を持っているというのを聞いて、おれは勝手に97へぇを出した。

私は、すっごく気合いの入った「へえ!」を1つ出しました。

投稿: 湖蝶 | 2006年9月11日 (月) 22時01分

ふと思ったのですが、Gentle Giants of Ganymedeって意識して頭文字GGGにしていますよね。「勇者王ガオガイガー」の元ネタ?
ちなみにGiants Starは「巨人の星」の原作です。

投稿: ROCKY 江藤 | 2006年9月11日 (月) 22時17分

>かおるさん
>いずれも原始的な香りがする生き物

 あ、やっぱりそういう段階のやつには、毒を持ってるやつがいるんですね。

>以前ネーチャーで論文を読んだ

 本職の学者が疑問に思わないわけないですもんねー。そのうち探し出して読んでみます。

>デモステネスさん

 ありましたっけ? すっかり忘れている(^_^;)。

>湖蝶さん

 “へぇ”は数じゃありませんから(;^_^)/。

>ROCKY 江藤さん

 字面の面白さを狙ったんでしょうね。音では頭韻になりませんし。

 The Two Faces of Tomorrow は『ヤヌスの鏡』の原作です。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年9月12日 (火) 01時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/161330/11843904

この記事へのトラックバック一覧です: 毒のあるサル:

« 漫然と流しておけたら、それは“メディア”なのだろう | トップページ | B級グルメの至福 »