漫然と流しておけたら、それは“メディア”なのだろう
最近、“テレビを観ながら飯を食う”のと同じ感覚で、“GyaO を観ながら飯を食う”ことが多くなってきた。ちょっと前までは、ネットで動画を観るといえば、“これを観る”といった確固たる意志を持って、“内容の濃いものをいちいち観る”といった感じが強かったのだが、GyaO のコンテンツの充実や my GyaO というパーソナライズ機能の出現によって、“どうでもよいものを漫然と流しておく”という視聴形態が自然なものになってきたのだ。たぶん、おれにかぎったことではないだろうと思う。テレビは確実に客を取られているぞ。
“どうでもよいものを漫然と流す”にしても、それは“事前に登録したある程度興味のあるもの”なわけであって、つまりおれにとっては GyaO の使いかたは、次第に iTunes の使いかたに似てきたということになる(おれの使っている携帯プレーヤーはアイリバーだけどね)。もしいま、GyaO がハードウェアメーカーと手を組んで、“好きな番組ばかりやっているラジオ”としての iPod Shuffle が実現しているのと同じような、垂直統合戦略に乗り出したとしたら、かなりいい線いくのではないかという気さえしている。
パソコンの前に襟を正して鎮座し、「さあ、なにかを学んでやろう」「さあ、じっくりとこの“作品”を鑑賞しよう」と構えて視聴しているうちはなにやら鬱陶しい感じもあったのだが、“そこそこどうでもいいもの”を連続して流せるようになってからは、ますますテレビに近づいてきた感があるのだな。メディアというものは、そういう段階になってはじめて、一応の成熟を迎えたということになるのではなかろうか? スタージョンの法則は、裏返せば、98パーセントのクズが存在するからこそ、2パーセントの値打ちが出るのだということなのだ。裾野が広いということが、メディアにとっては存外に重要なことなのだろうと思う今日このごろである。
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コメント
なんと恐ろしい、やはり事態は確実に悪化しているのですね。
クズの比率がいつの間にか8%も上昇していたか。
ああ…。
投稿: いかなご太郎 | 2006年9月10日 (日) 20時03分
>いかなご太郎さん
ありゃ、スタージョンの法則は90%でしたね。最近、こういうポカミスが多くていかん。
でも、近年、心理的にはすでに98%ではあるな(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年9月10日 (日) 20時26分