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2006年9月17日 (日)

サンマの死骸を食う

Samma01 昨夜は、ひさびさにサンマを食った。あとは、焼き豚とサラダ。サンマの右下あたりに盛ってあるのは大根おろし(冷凍パックの便利なやつだ)。焼き豚の右下あたりに盛ってあるのはワサビである(おれは肉にはワサビ派なのだ)。カロリーがすごそうなので、米はまったく食わず、焼酎お湯割りでサンマをじっくり味わう。サンマには日本酒の熱燗が最高なのだが、買い忘れたのだ。ま、焼酎でも悪くはない。日本の酒にはちがいないしな。

 今回のオペは大成功だった。「マンガに出てくる乞食がゴミ箱の中を漁ったあと頭の上に乗せているかのようなサカナのホネ」を、みごとにふたつも作ることができた。あんまり脂の乗った大物ではないが、このほうが身体にはよさそうだし、味もなかなかのものだった。このサンマは、焼いた状態のが二尾で三百円。これほどコストパフォーマンスの高い動物性蛋白もちょっとないと思う。

 サンマのパックにかけてあったラップを見ると、「北海道産」と書いてある。漁師さんたちがロシアの船に撃たれそうになりながら獲ってきたものであろうか。おれは宗教というものがまったくわからないし、わかりたくもない人間ではあるが、こういうものを粗末に扱うと“なにかに対して悪い”という感覚はある。母なら“バチが当たる”と表現するだろう。実際にはバチなど当たらんが、そう表現する感覚はおれにも理解できる。むかし星新一が、雑誌なら捨てられるのに、本を捨てるとバチが当たりそうな気がするといったことを書いていたが、その感覚もよくわかる。

 以前のエントリー「死骸を食うこと」で書いた『「こうしてご飯が食べられるのも、ほかの生きものが死んでくれたおかげだ」と常に意識しているのは、存外に大切なことではないかという気がするのだ』に直結するのだが、子供には“これは生きものの死骸だ”とあきらかにわかる姿の食いものを、たとえ嫌がってもたまには食わせるのが教育的にはよいのではないかとおれは思う。たいていの食べものはもともとはほかの生きものだと、頭ではわかっていても、とくに現代の子供には実感が湧かないだろう。生きものの死骸に箸を突き立て、自分が生きるために食うという体験をしばしばさせるべきだと思う。

 「給食費を払っているんだから、子供に“いただきます”などと言わせないでくれ」と学校に文句をつけた親がいるというのが以前あちこちで話題になったけれど、親の中にもこういう人がいるくらいであるから、子供となれば推して知るべしである。この親御さん、バカとは言わんが、きわめて精神性が乏しい人ではあるでしょうな。日本語の「いただきます」は、人に対してだけ言っているものだと思い込んでいるわけだ。こういう人は、「ありがとう」も、人に対してだけ言っているんでしょうなあ。つまり、この親御さんのような人は、日本語を正しく身につけているとは言えないのである。

 学生のころに学習塾でアルバイトをしていたとき、「センセー、“いただきます”って英語でなんて言うんや?」と問われて、「そういう習慣そのものがないから、ぴったり当てはまる言葉はないなあ。敬虔なキリスト教徒やったらお祈りしてから食うわな。まあ、あのお祈りをひとことで言うようなもんやろ、“いただきます”は」などとお茶を濁したもんだ。あえて訳せばどうなるかね? Thank everything for letting me be here and now. といった感じか?

 「もったいない」を世界的に広めてゆこうという動きもあるいま、「いただきます」もそうしてはどうかと思うぞ。かくいうおれも、飯食うたびにいちいち口に出して言ったりはしないんだが、心内発声するようにはしている。子供がいたらきっと、教育の一環として、自身も口に出して言うようにしただろうね。

 というわけで、今日の晩御飯には、サンマの死骸などいかがです?Samma02




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コメント

その秋刀魚の死因は…網の中での圧死でしょうか、それとも漁船甲板上での窒息死だったか、あるいは船倉での凍死だったのでしょうか。

鯛のように死刑囚としての生活を送った後で、出刃包丁を凶器とする頚部切断によって惨殺されたり、鰻のように生きたまま腹を切り裂かれた上に、じりじりと火に炙られて焼死するのとどちらが彼らにとって幸せだったのでしょうか。

彼らの魂に安らぎあれ。いただきます。

投稿: いかなご太郎 | 2006年9月17日 (日) 20時15分

>いかなご太郎さん

 サンマの苦しみに報いるためにも、今年の秋はたくさん食ってやろうと思っています。いただきます。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年9月18日 (月) 02時33分

 美味しそうですね。
 英会話学校の先生にも聞いたことがあるのですが、食べ物を粗末にしてはいけません、とか、お百姓さんに感謝しましょう、というような教育はアメリカでは無いみたい。ずーっと食べ物が豊富だったからでしょうね。私たちは、たいてい学校の給食でそういうような事を聞かされて育ってきてますよね、給食って結構良いシステムなのかも。

投稿: TOMTOM | 2006年9月19日 (火) 12時14分

>TOMTOMさん

食いもの(が手に入ること)に感謝する行事としては、Thanksgiving Day が一応あるわけですが、あれは森羅万象に感謝しておるというよりは、ピルグリムファーザーズのころのアメリカ原住民に感謝しておるわけですから、ちょっと深さが足りませんね。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年9月21日 (木) 23時17分

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