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2006年8月31日 (木)

英語教育のハコモノ行政

小学校の1割に外国人配し、英語教育充実 文科省方針 (asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0829/003.html

 小学校での英語教育を充実させるため、文部科学省が、来年度から、全国の国公私立小学校の約1割にあたる約2400校をカバーする外国人指導助手(ALT)を配置するなどの取り組みを進める。同時に、指導方法や教材などを盛り込んだ総合サイトを同省が開設し、教員に情報提供する方針だ。

 文部科学省は、どうしても無茶をしたいらしく、中央教育審議会など存在しないかのように、とにかく既成事実を作るための画策に躍起になっているとしか思えない。文部科学省の役人だか、その尻を叩いている政治家だかには、英語のできない人がよっぽど多くて、コンプレックスの塊になっているのではないかと勘繰りたくもなるほどである。この件に関してはおれもさんざん茶化してきたが、鳥飼玖美子氏が『危うし! 小学校英語』(文春新書)で展開している意見にほぼ全面的に同意するものである。

 だいたい、どうして「全国の国公私立小学校の約1割」などというハンパなはじめかたをするのさ? 公教育の機会平等の建前はどこへ行った? 単に英語を話す国に生まれただけの教育の素人や、単に英語ができるだけの教育の素人をかき集めて、とにもかくにも一部の小学生だけにあてがう気か? 要は、“外国人という名のハコモノ”をとにかく数だけ揃えて放り込もうという、おなじみのお役所的発想以外のなにものでもない。しかも、ALTはあくまで“日本の英語教育”の補助者にすぎない外国人だ。英語教育に於いて主たる役割を担う日本人のちゃんとした教員を一朝一夕に調達できるのか? 「アイ・アム・アップル!」を、あっちこっちでやらせるつもりなのだろうか? おお、そうだ、じつはあれからおれは、"I am Apple."という文章が正しく成立するケースを一例だけ思いついた。そう、スティーブ・ジョブズが言っている場合だ。残念なことに、たいていの小学生はスティーブ・ジョブズではない。

 こうまでして、おかしなALT(まあ、まともな“教師”としての能力・資格を持った人もいるにはいるだろうが)に英語を教えさせるくらいであれば、小学生にはただただ『セサミストリート』を観せておくほうがよっぽどためになると思うのはおれだけだろうか? 妙な吹き替えの入ったやつではない。二か国語放送なんかなかったむかしのように、ひたすら英語だけで流していた『セサミストリート』を観せておけばよい。ヘンなALTにやらせるよりよっぽどいい。

 こんな無茶なことがどんどん進行してゆくとすると、そのうち「わが子が日本の公立校での愚にもつかない英語ごっこにつきあわされるのが厭だから、インターナショナルスクールに入れたい」などという親が激増するのではあるまいか。



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コメント

 もちろん、こんなの少子化対策に決まってます。
 子供が少なくなっても文部省(あえて文部科学省とはいわない)の規模を小さくしなくてすむように学校教育を拡大してるだけです。ほかに老人の管轄を厚生省から奪いとる算段もいろいろやってますよね。
 これが人間の輸出商品化を期待する通産省や財界の要請にもあっているので、とんとん拍子に話が進んじゃうと。日本語仕様のアイボなら笑ってすみますが、実用ロボットはそうはいきません。多少怪しい英語でも、輸出商品は英語に対応してないと売れませんから。

投稿: 東部戦線 | 2006年8月31日 (木) 16時58分

冬樹さんとおなじ歳ですが(笑)
たしか10才ぐらいのころ、いまはなきソニーのLL教室に通っていました。そのおかげかなんかわかりませんが、その後あまり英語に抵抗はなかったような気がします。

英語の音に小さいうちからなれておくのはいいかもしれませんね。と、いうことで、「セサミストリート」を英語だけで見せるに賛成。すくなくとも数字の数えかたぐらいは覚えるでしょう。

投稿: いしどう | 2006年8月31日 (木) 22時13分

世の中広いもので、世間には意外とAppleさんがいらっしゃるようです。

「アップル法律事務所」
http://www.healthlawgeek.com/pages/1/index.htm

「アップル博士」
http://www.tenth.org/index.php?id=115

「アップル一族」
http://freepages.genealogy.rootsweb.com/~monticue/Apple_history.htm

"Are you Apple?"と尋ねられると彼(彼女)らはきっと"Yes. I am Apple."と答えることでしょう。

いえ、当方別に文部科学省が正しいことをしているとは毛ほども思っておりません。

投稿: いかなご太郎 | 2006年8月31日 (木) 22時32分

小学校で、外国人指導助手を必要とする授業なんて、必要ないでしょ。
どっちかって言うと、芸術鑑賞的な国語だけでなく、実用的な国語の授業を充実さ
せる方が重要だと思うけどね。

小学校の英語をやるなら、アルファベットの読み方と書き方、日常で使われる日本
語化された英語の意味と綴り、ローマ字(パソコンの文字入力のため)、後は音楽
の授業で英語の歌も歌うようにするだけで良いよ。

それにしても、離島の小学校にわざわざ行ってくれる外国人指導助手なんて居るの
かいな。

投稿: おおじじ | 2006年9月 2日 (土) 23時46分

>東部戦線さん

 それっぽいですねえ。そのうち、国公立大学の大学院生、講師、助手あたりまでは、「専攻分野を問わず、全員小学生に英語を教えられる資格があるとみなす」として、下から順に小学校に派遣されるかもしれません。もちろん、そのためのマネジメントには公務員がもっと必要だとか言って増やすんでありましょう。

>いしどうさん

 小学生くらいだったら、「世界にはいろんな言葉を話すいろんな人がいるんだ」ということだけしっかり把握できればいいと思いますね。外国語に親しませるということが重要なだけに、日本人用に歪曲した外国語まがいのものに触れさせることの弊害は、非常に大きいと思います。

>いかなご太郎さん

 いやあ、やっぱりキャラ的に、I am Apple. と言いそうな人は、ジョブズのほかにあんまりいないと思うなあ(^_^;)。

>おおじじさん
>実用的な国語の授業を充実させる方が重要

 同感です。なにやら矛盾した要望を場当たり的に述べてくる人の言うことをなんとかまとめて論理的に整合性のある文書にしたりする練習とか、まったく自分の意見もアイディアもないのに形だけは人を導く立場にあるという困った人の代筆をして、それがあたかも最初からその人の意見であったかのように本人にも暗示をかけるような文書を作成する練習とか、意味のあることをなにひとつ言わずに指定された分量の文章をでっち上げる練習とか(あわわわわ……)は、日本の企業で円滑な言語活動を営んでゆくためには必須と申せましょう。

>離島の小学校にわざわざ行ってくれる外国人指導助手

 そのキャリアが自分の研究に役立つ学者の卵とかならともかく、まあ、ほとんどいないでしょうね。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年9月 3日 (日) 15時22分

擴張ヘボン式なる翻字式ローマ字を提唱してをります。これで轉寫してみると歴史的假名遣の方が讀みやすい。それで自分でも表記を切替へるに到った者です。

是非お見知りおき下さい。

ローマ字相談室のローマ字資料室(ヘボン式系統)に説明があります。英語のものが一番新しい。

實例は眞道重明といふ方のサイト
http(colon)(double slash)home.att.ne.jp/grape/shindo/index.htm
の閑人妄語(三)の懷かしい唄、(四)の其の二にあります。

同じ眞道さんのサイトの水産雜記(三)にある「濫獲」か「亂獲」か? に寄稿したものが小生の主張です。

英語教育については

http(colon)(double slash)oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/archive/wkmr.pdf
に小著の一部が公開になってゐます。

併せて御高覽の程お願ひ申しあげる次第です。

投稿: kmns | 2008年12月19日 (金) 11時51分

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