英語教育のハコモノ行政
▼小学校の1割に外国人配し、英語教育充実 文科省方針 (asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0829/003.html
小学校での英語教育を充実させるため、文部科学省が、来年度から、全国の国公私立小学校の約1割にあたる約2400校をカバーする外国人指導助手(ALT)を配置するなどの取り組みを進める。同時に、指導方法や教材などを盛り込んだ総合サイトを同省が開設し、教員に情報提供する方針だ。
文部科学省は、どうしても無茶をしたいらしく、中央教育審議会など存在しないかのように、とにかく既成事実を作るための画策に躍起になっているとしか思えない。文部科学省の役人だか、その尻を叩いている政治家だかには、英語のできない人がよっぽど多くて、コンプレックスの塊になっているのではないかと勘繰りたくもなるほどである。この件に関してはおれもさんざん茶化してきたが、鳥飼玖美子氏が『危うし! 小学校英語』(文春新書)で展開している意見にほぼ全面的に同意するものである。
だいたい、どうして「全国の国公私立小学校の約1割」などというハンパなはじめかたをするのさ? 公教育の機会平等の建前はどこへ行った? 単に英語を話す国に生まれただけの教育の素人や、単に英語ができるだけの教育の素人をかき集めて、とにもかくにも一部の小学生だけにあてがう気か? 要は、“外国人という名のハコモノ”をとにかく数だけ揃えて放り込もうという、おなじみのお役所的発想以外のなにものでもない。しかも、ALTはあくまで“日本の英語教育”の補助者にすぎない外国人だ。英語教育に於いて主たる役割を担う日本人のちゃんとした教員を一朝一夕に調達できるのか? 「アイ・アム・アップル!」を、あっちこっちでやらせるつもりなのだろうか? おお、そうだ、じつはあれからおれは、"I am Apple."という文章が正しく成立するケースを一例だけ思いついた。そう、スティーブ・ジョブズが言っている場合だ。残念なことに、たいていの小学生はスティーブ・ジョブズではない。
こうまでして、おかしなALT(まあ、まともな“教師”としての能力・資格を持った人もいるにはいるだろうが)に英語を教えさせるくらいであれば、小学生にはただただ『セサミストリート』を観せておくほうがよっぽどためになると思うのはおれだけだろうか? 妙な吹き替えの入ったやつではない。二か国語放送なんかなかったむかしのように、ひたすら英語だけで流していた『セサミストリート』を観せておけばよい。ヘンなALTにやらせるよりよっぽどいい。
こんな無茶なことがどんどん進行してゆくとすると、そのうち「わが子が日本の公立校での愚にもつかない英語ごっこにつきあわされるのが厭だから、インターナショナルスクールに入れたい」などという親が激増するのではあるまいか。
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