「『フェミニズム』ってなんですか?」
『内田樹の研究室』ブログの「エビちゃん的クライシス」(2006年05月20日)を読んで、内田氏が驚いているということにおれが驚いた。おれも最初のころはこういう現象にいちいち驚いていたのだが、最近は「そういうものなのだ」と思うようにしているからである。
この「[間歇日記]世界Aの始末書」を長らく読んでくださっている方であれば、あの「月をなめるな」や、「『ヨクネン』って何のことですか」、あるいは「水をなめるな」といった話をご記憶であろう。有名女子大で「現代思想・現代文化論」を学ぶ学生が「『フェミニズム』ってなんですか?」という根源的な問い(?)をあっけらかんと発するという事態は、内田氏が憂えているような、フェミニズムのもたらした最良の知的資産の継承云々といった限定的な問題ではないにちがいない。これは「月をなめるな」と同次元の現象だろう。そういう意味では、内田氏の心配は杞憂だと思われる。“その程度の現象はあちこちで常態になっているのだから、ことさらそのことだけを心配するには及ばない”というのを“杞憂”と呼ぶのが日本語として正しいかどうかを度外視すればだが……。
これがなにかの危機なのかどうかすら、おれは最近よくわからなくなっている。いいことなのか、悪いことなのかすらわからないのだ。ただただ、個人的には“寂しいこと”だとは感じる。その寂しさは、たとえば、むかしは“ヒット曲”と呼ばれていた歌謡曲を誰もが口ずさんでいたのに、いまでは何百万枚売れようが知らない人はまったく知らないのがあたりまえになっているのを痛感するときに感じる寂しさに少し似ている。
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コメント
こんばんは、蛉さん。
奇しくも今晩MX-TVで観た「西遊記」で、ピンクのヘルメットをかぶった女性がたくさん出てくる回をやっていたのですが、それを観て、「中ピ連って今の子たちは知ってるのかな」と思ったのでした(笑)。あれ、本物は昔の米軍型のものだったような記憶があるんですが、番組のはナチスドイツ国防軍のヘルメットだったようです。
投稿: オオカミ | 2006年5月20日 (土) 22時23分
中ピ連と言えば、「紅白歌合戦の本番中にとある男性歌手の歌の途中に突撃をかける」という話があって、わくわくしながら「紅白」を見ていたのですが、結局何も起こらず随分落胆した思い出があります。
ところで、フェミニズム(ウーマンリブ)というと、榎美沙子よりもなぜか早瀬久美(というか、吉川操)の印象の方が強いです。
投稿: 小林泰三 | 2006年5月20日 (土) 22時59分
>オオカミさん
なにかというと、「中ピ連に言うぞ」というギャグが私の子供のころにはあったものですが、いまではベ平連と同じくらいに死んでいる死語になっちゃってますね(^_^;)。
>小林泰三さん
そんなことでわくわくしながら紅白を観ていたとは、栴檀は寸にして人を呑むとはよく言ったものです。
「ヨーシカワくーん!」にはやっぱり、フェミニズムというよりは、ウーマンリブという言葉のほうが合いますね。時代やなあ。
男性解放のポテンシャルも持つフェミニズムもあるので、ウーマンリブという言葉は、私自身は偏ってる感じがして好きじゃないです。単に男性ショービニズムの符号のちがうやつといった印象しか受けませんね。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年5月21日 (日) 02時58分