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2006年5月 7日 (日)

『クロサギ(4)~(6)』(黒丸・[原案]夏原武/ヤングサンデーコミックス)

 三巻ずつまとめ読みしているのだが、四巻の「共済組合詐欺」あたりから俄然面白くなってきた。エンタテインメント性の高い大がかりな詐欺をネタに一本のドラマを組み上げるには、連載四、五回を費やす分量が必要なようだ。二巻あたりからはじまった“小ネタ(連載三回)二本で大ネタ(連載四、五回)一本を挟むのを繰り返す”というパターンの調子が掴めてきたのだろう。四巻では、黒崎を執拗に追うキャリア刑事・神志名の過去があきらかになる。どうやら、『クロサギ』の主要キャラクターはみな、人生のどこかで詐欺というものに大きな影響を受けているという点で共通しており、詐欺に対峙するカタチがそれぞれ異なるためにすれちがうという構造が見えてきた。

 五巻のほぼ半分を占める「ODA還流資金詐欺」などは、じつに大がかりで面白かった。丸々一巻ぶん充ててもよかったくらいだ。黒崎のライバルである大企業専門詐欺師・白石も絡んできて、いかにもドラマ向きである。テレビドラマがどういうふうに料理するのか楽しみだ。これは、山崎努クラスの大物俳優を数人は配して、二時間くらいのスペシャルにしてほしいなあ。六巻の「フランチャイズ・チェーン開業詐欺」は、黒崎の父親を破滅させ家庭を崩壊させた詐欺であり、黒崎は今回の事件を通じて親の仇の当の詐欺師・御木本へと通じる糸をたどり、幹となる物語が大きく展開する。

 以前、『クロサギ』と手塚治虫の『七色いんこ』との類似点を挙げたが、どうも六巻あたりまで読んでくると、平成の『銭ゲバ』(ジョージ秋山)という感じも受けないではない。黒崎は何十億という金を平気で騙し取る(騙し取り返す)くせに、金そのものへの執着はまったくといっていいほどないのが蒲郡風太郎と大きくちがうところだが、憎んでいる対象がじつは“銭”ではないというところには、共通した匂いがある。もしかすると『クロサギ』は、“この社会そのものが、合法的な巨大詐欺システムである”というところにまで斬り込んでゆこうとしているのかもしれない。

 六巻には、黒崎があのボロアパートの大家になるに至った小エピソード(むろん、詐欺絡みだ)が外伝として収められており、巻末の「シロサギ・データ・ファイル」では特別編として「おれおれ詐欺」を取り上げている。おれおれ詐欺を本篇で取り上げないのは、「詐欺としてはあまりにも最低の詐欺であり、黒崎が喰うに値しない詐欺である」からなのだそうだ。まあ、そうだよなあ、みみっちすぎて、マンガとしてのエンタテインメント性に欠けるもんな。






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コメント

ドラマ、第2回から欠かさず見ています。
小沢真珠が出てきたときは、ちょっと笑いましたが、その弟とのエピソードがツボにはまって号泣
しました(T_T)

投稿: 湖蝶 | 2006年5月 7日 (日) 10時13分

>湖蝶さん

 あの回は、原作のふたつのエピソードをうまく合成しています。黒崎の旧友があの結婚詐欺師の弟という設定は、テレビのオリジナルです。ああやったほうがテレビ的にはいいですね。

 けっこうゲストがユニークなのが見どころですね。堺正章はさすがでした。テレビのほうは黒崎が涙を浮かべたり、ちょっとウェットすぎるのがどうかと思いますが、イケメン使うと、フィクションなのに冷たすぎるとまずいみたいですねえ。『女王の教室』でいろいろゴタゴタがあったように。どうも、「視聴者というものはせっかちで、ドラマの展開を待たずにすぐ誤解し、ドラマと現実の区別がつかないものだ」という前提が創り手側にあるのかもしれません。実際、創り手にそう思わせる、信じられない視聴者もいるんでしょうけどねえ。テレビってのは怖いです。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年5月 7日 (日) 13時13分

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