『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』(佐々木俊尚/文春新書)
Google という特殊な企業を、さまざまな角度から一般向けに解説した好著。出版のタイミングが重なったということもあって、『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』(梅田望夫/ちくま新書)とセットで語られることが多いようだが、『ウェブ進化論』の論旨が一般読者にどの程度伝わるかは疑問なのに対して、本書はあまりITに馴染みのない人にもたいへん読みやすく、ビジネスの上で具体的に得るところが大きいと思う。さすが元新聞記者だけあって、構成や話の進めかたに藝がある。「グーグルって名前は知っているんだが、なにをそんなに騒いでいるのだ? なにがどうすごいというのだ? ただの検索エンジン屋じゃないのか?」と首を傾げている中小企業の経営者さんなどに、とくにおすすめ。『ウェブ進化論』が若者へのアジテーションなら、本書は万人に向けた平易な解説・分析であり、また警鐘でもある。
SFファン的には、Google をフィリップ・K・ディックの“ユービック”にもなぞらえてたりしているあたりが、なかなか面白い。たしかに、Google Earth なんかで遊んでいると、そんな気にもなってきますな。
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