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2006年5月21日 (日)

『ダーティペアの大征服―ダーティペア・シリーズ〈6〉』(高千穂遙/早川書房)

 おなじみ《ダーティペア》なんだけれども、なぜか“剣と魔法”のヒロイック・ファンタジーなんである。大陸をまるごとひとつヒロイック・ファンタジーの世界に仕立て上げて大人気のテーマパーク〈バーバリアン・エイジ〉が舞台であるからして、もう、なんでもありなんである。WWWAの中央コンピュータの指名で、なにがなんだかわからないまま〈バーバリアン・エイジ〉に送り込まれるのは、もちろんダーティペア。なんでも、〈バーバリアン・エイジ〉の運営システムに対する破壊工作が行なわれているらしい。遊園地(遊園大陸?)のシステムが破壊されつつあるのなら、システムの外から調べればよさそうなものだが、それでは面白くない。このテーマパークの“ノリ”に従い、きちんと客として潜入し、犯罪組織に繋がる不審者を炙り出さねばならないのである。というわけで、ケイは戦士、ユリは魔法少女のキャラを選択して、捜査なんだかゲームなんだか黒沢映画なんだか○○○・○ー○なんだかよくわからない大冒険の幕が上がるのであった……。

 主人公がヴァーチャル・リアリティーの世界に入り込んでこうしたなんでもありの展開になることはよくあるが、ハイテクテーマパークに強引に放り込まれるというのは、意外とありそうでなかった設定なのではあるまいか。というか、ふつう、いきなりそんな無茶な設定を提示したら「あほか」と言われてしまうはずだけれども、《ダーティペア》であれば、「まあ、そういう事件があってもよかろう」という気になるから、歴史のあるシリーズものというのは強い。

 これはまあそういう世界であるからして、ルールに則り経験値を上げてゆかないと、ろくな捜査もできないわけである。ゲームのルールを学ぶためのスタート地点に当たる都市の名前が〈ダチカン〉(高千穂遙は名古屋出身である点に注意)というあたりから、ああ、これはひょっとすると田中啓文っぽい《ダーティペア》なのかもしれんと腹を括ったら、はたして、そのように展開してゆくではないか。いつもより露出多めのコスチュームのケイが大剣を振りまわし、くノ一に変身した魔法少女のユリが怪しげな名前の忍術を繰り出して、火を吐く巨大ドラゴンと闘うに至っては、おれの頭の中で“不信の停止”などという文学用語の鎖がぷちーんと音を立てて弾け跳んだ。作中のケイの言葉を借りれば、「ああ、なりきっているやつは強い」というやつだ。小難しいことを考えながら読むべき本と、そうでない本というものがある。なんにせよ、世の中、楽しんだもん勝ちだ。あ、いかん、文体がケイみたいになっているぞ。

 そして、そのまま口を開けて読んでいたら、最後の最後でとんでもないことが――!! こ、こんなことをして、どこかからマシンガンで撃たれたりしないのかと思いつつ、大爆笑である。ま、まさか、この大ネタ(?)をやるためにはどのような話が必要かと逆に考えていって、この「ダーティペア・イン・ソード・アンド・ソーサリー!?」(折り返しアオリより)の設定を得たのではあるまいなー? だったら、やっぱり田中啓文ではないか(笑)。

 いや、おそれいりました。なーんにも考えずにつるつる読める、ストレス解消に持ってこいの一冊。もっとも、“なりきれない”読者は、逆にストレスが溜まるかもしれないけど……。

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