伝承の崩壊
近所を歩いていると、小学校低学年くらいの女の子たちが、珍しく“花いちもんめ”をやっていた。むかしは、あちこちからあの歌がしょっちゅう聞こえていたもんだが、いやあ、やっぱり最近の子もやったりするんだなあ、懐かしいなあと耳を傾けながら、おれはその場を通りすぎようとした。
ところが、背後からはっきりと聞こえてきたのだ――
負けーてくやしい、花いちごんべー
あれは聞きまちがいではない。少女たちは何度も何度もそう唄っていたのだ。替え歌を唄って面白がっているふうでもない。なんの疑いもなく、楽しそうにそう唄っていた。
きっとあの子らは、花市権兵衛という格闘家かなにかが試合の結果に一喜一憂する歌だとでも思っているのだろうなあ。とはいえ、哀しい人身売買の歌だと教えてやるのも興を殺ぐような気がする。そんな歌で遊べないよなあ。
家に帰って母にその話をすると、母は大笑いして言った――「“どん兵衛”でのうてよかったこっちゃ」
そ、そういう問題か……。
ま、まさか、すでに「花いちごんべー」の歌詞のほうが優勢だったりするんじゃないだろうなあ?
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コメント
ええーっ ジェネレーション・ギャップ・・・
投稿: 湖蝶 | 2006年4月23日 (日) 10時01分
>湖蝶さん
ジェネレーション・ギャップというか、正しく伝わってないというか……(^_^;)。
最近の子はあんまり縦の繋がりがないので、非常に狭い年齢層だけでグループを形成するらしいですね。そういうことも正しく伝わらない原因になっているのかもしれません。むかしは、六年生くらいから四つ五つの子供まで一緒に遊んでたもんですけどねー。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年4月23日 (日) 21時26分
私その遊び方知らなかったんですよ、ホント
冬樹さんより年上の岐阜県人ですが。
その子がほしい、その子じゃわからん
*ちゃんがほしい、何乗って行くの
というのはかすかに記憶があります。でもその前に「花いちもんめ」がついてたとは---
ところで「ごんべさん」の歌って田にもあったのでは?
投稿: 村上 | 2006年4月26日 (水) 21時25分
>村上さん
へぇー、そうなんですかー。地方によっては、花いちもんめをやらないところがあるのでしょうかね?
>ごんべさん
♪ごんべさんの赤ちゃんが風邪引いた~
ってのは知ってますけどね(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年4月26日 (水) 22時30分