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2006年4月 6日 (木)

遠近両用眼鏡の未来

瞬時に焦点が変わる、液晶を使った遠近両用メガネレンズ
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20100319,00.htm

 アリゾナ大学の研究チームは、米国時間4月4日、メガネをかけている人の視線の方向に合わせて焦点を自動的に変えられる、液晶を使ったメガネレンズを開発したと発表した。

(中略)

 しかし、従来の遠近両用メガネには弱点がある。1枚のレンズが遠くを見るための部分と近くを見るための部分に分かれていて、視野の一部が妨げられるため、近くを見るときには顔を上に向けたまま視線だけを下げなければならない。焦点距離の違う部分が視野に入るため、頭痛の原因になることもある。
 今回アリゾナ大学のチームが開発したレンズによって、この問題を解決できるかもしれないと研究者たちは言う。このレンズは、2枚のガラス層の間に、厚さ5ミクロンのネマティック液晶(分極した細長い有機分子)がはさまれた構造になっている。液晶の層には、透明電極が円形に配列されている。
 電場をかけると液晶分子が環状に再配向し、光の通過する経路が変わる。
 このレンズの応答時間は1秒未満だ。

 おおお、いいねえ、これ。そろそろ老眼がキテいるおれにとっては朗報かも。ぜひ実用にまでこぎつけて、庶民にも買える程度の価格になるまで量産してほしいもんだ。

 しかし、ここまで来るともう、眼鏡というよりは、HMDの一種と言ってもいいのではないか。つまり、AR(augmented reality)アプリケーションのひとつに、“視力補正”というのがあるにすぎないってことだろう。この新種の遠近両用眼鏡の考えかたを推し進めてゆくと、《スタートレック ネクストジェネレーション》のラフォージがかけている「バイザー」のようなものになるはずだ。あんなふうに脳に直接出力する装置ができるまでには、人間の眼に映像を出力する“眼鏡”ができても不思議ではない。それは一応光学機器と言えば光学機器なのかもしれないが、入力と出力のあいだにとてつもなくインテリジェントな情報処理を高速で行うことになるので、装着者は、レンズを通して世界を見るというよりは、眼鏡型のモニタを顔にかけて、その映像を観ているといったほうが適切かもしれない。窓のない部屋の壁に、外の景色が映る薄型モニタを窓として取りつけているようなものだ。

 その場合、眼鏡の“表側”はどうすればいいだろう? 人と会話したりするときには視線が合ったほうがいいだろうから、まるでガラスを通して話し相手を見ているかのような“装着者の眼の映像”を生成して映しておくのがいいのではないかと思うがどうだろう? 授業中やつまらない会議中など、熱心に話を聴いているかのような眼の映像を眼鏡の表に映しておけば、堂々と居眠りができる。目蓋にマジックで目玉を書いて居眠りをする方法のハイテク版だ。なんて贅沢な使いかただろう。

 この種のハイテク眼鏡の最も大きな技術的課題は、たぶん光学的側面ではなく、情報処理の速度だろう。「わっ、広場のほうからサッカーボールが飛んできた! わわっ、あと十メートルほどで顔面にぶつかるっ!」と思ってかわそうとしたときには、とっくにボールが顔にめり込んでいる……なんてことでは、危なっかしくてしようがない。実用化には、まだまだいくつもの技術的ブレークスルーが必要な気がする。研究としては、とても面白いよね。

 まあ、現在のふつうの眼鏡が、そもそもヴァーチャルリアリティー器具なんだよな。そのヴァーチャル度が、これからますます上がってゆくだけのことだ。

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コメント

情報処理のタイムラグで眼鏡がスローガラスになる可能性もあるけど、飛んでくるボールの軌道計算をして少し未来の絵を見せてくれることも可能になるかも。
あまり実用性はなさそうですが、野球の打者が使うと「ボールが止まって見える」に近い状態に?

投稿: nido | 2006年4月 6日 (木) 23時53分

眼鏡の情報処理能力が高ければ、着衣の下の身体の動きから身体の形状を演算で求めることできるでしょう。
そうすると、(仮想的にだけど)服が透けて見えてしまうという、夢の「Ⅹ線めがね」が実現するかもしれませんね。

投稿: いかなご太郎 | 2006年4月 7日 (金) 05時29分

>nidoさん

 ああ、それはイケるかもしれませんね。まともに計算したのでは、撮像を素直に出力するよりも時間がかかるでしょうから、ある程度数式でシミュレートが可能な運動だと判断したら、途中の映像を間引いて計算するようにすれば、いくらか未来の映像を迅速に出力できるかもしれません。

>いかなご太郎さん

 それを洗練すれば、歩いている姿を見るだけで病気がわかる眼鏡とかも可能かも。多くのサンプルをデータベース化して、病変に特有な歩きかたをマイニングした“歩きかたエキスパートシステム”と連動させれば、けっこう病変の早期発見に役立つかもしれません。

投稿: 冬樹蛉 | 2006年4月 7日 (金) 23時05分

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