『超妹大戦シスマゲドン(1)』(古橋秀之/ファミ通文庫)
ある人に薦められて読んでみたのだが、ものすごい世界があるんですなあ。たぶん“妹萌え”の人にはたまらんのだろうと思うが、おれは残念ながら妹萌えな人ではない。なにしろ、おれの妹はもう四十を超えたおばはんだ。統計的データではないが、どうやら現実に妹がいる人には、妹萌えがわからない人が多いようだ。
どういう話なのか説明しようとすると胃が痛くなってくるので、概略が掴みたい方は、著者本人のサイトに「高橋メソッドによる『超妹大戦シスマゲドン』の宣伝」というのがあるから、そちらをご覧いただきたい。見てもやっぱりわからないかもしれないけど。
それはともかく、古橋秀之といえば、おれ的には“『サムライ・レンズマン』を書いた人”という認識であって、こりゃあタダモノではないとは思っていたのだが、こういう方面でもタダモノではなかったのだなあ。ドタバタというよりは、ハチャハチャに近い。最初、頭痛がしてくると思うが、半分くらい読むころには脳が麻痺して、なんだか心地よくなってくる。おれの世代の人なら、『マカロニほうれん荘』のノリに通じるテンションだと言えば、感じは掴んでいただけるだろうか。だいたい、ファミ通文庫なんだから十代の読者を想定しているはずなんだけども、どう考えても想定読者層には通じないであろうギャグが連射される。本人もかなり楽しんで(というか、悪ノリして)書いてるのだろう。「チキチキシスター猛レース」って、あのね……。まあ、最近は、映像作品に関しても“同世代”という概念が崩れてきているから、もうそういう意味での読者層なんてものを想定する必要はないのかもしれない。「『怪奇大作戦』
を観て岸田森のファンになった」とか「『妖怪伝 猫目小僧』の“ゲキメーション”って斬新」とかいう若い人だっておりますからなあ。
けっして万人にはお薦めはしないが(十人くらいにならお薦めするかもしれん)、たまには自分の単調な読書生活の殻を破ってみたい(?)という立派な悪ノリ好きの大人なら、自己責任でお読みになってみるのも後学のためにはよろしいのではないかと……。
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コメント
えー、(自称)妹萌えの人たちに言わせると、この話、全然妹萌えではないんだそうで。(まあ、確かに、この話に登場するのは妹という名称の「なにか」ですから(笑))
では何萌えなのかというと、「妹を偏愛するお兄ちゃん萌え」の小説なんだそうであります。
奥が深いっつーかなんつーか(笑)
投稿: クレイン | 2006年2月 6日 (月) 11時34分
>クレインさん
あ、“ある人”が来た(^_^;)。
うーむ、そう言われればそうかもしれません。奥が深いのは、やおいも同じかも。
私には妹萌えもわからんし、「妹を偏愛するお兄ちゃん萌え」もわかりませーん。
眼鏡っ娘萌えとカエル萌えはわかります。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年2月 6日 (月) 23時36分