« 鷲尾いさ子も若かった | トップページ | 今月の言葉 »

2006年2月 2日 (木)

おれには論理がわからない

 迷子になったらなんとしょう? 

 じゃなくて。

 いや、歳を食ったせいか、どうも最近おれは論理を把握する能力が衰えてきているのではないかと、かなり不安になってきた。というのも、このところ、おれにはさっぱりわけのわからない論理が、あたかも自明の理であるかのごとくにいけしゃあしゃあと展開されているのを立て続けに目にするからである。あんまりしゃあしゃあとしているので、おれのほうがおかしいのではないかと思えてくるわけなのだ。

[その1] 交通法規を破って好き勝手に車を走らせていた男が逮捕されたというだけのことで、テレビに出ている“識者”というふれこみの人が、「ほうら言わんこっちゃない、そもそも自動車なんてものが諸悪の根源なのだ。車に頼る姿勢がいかん、そういう文明そのものがいかん。歩け、みんな歩け!」といった説教を垂れる。たぶん、その識者さんは、しょっちゅう車に乗ってあちこちのテレビ局やら講演会場やらへ行き、お金を稼いでいるのだろうと思うのだが……。

[その2] ある男が飲酒運転で事故を起こし、大勢の歩行者に大怪我をさせてしまった。彼は事故の直前、自動販売機で酒を買ってしこたま飲んだのだった。そのまま運転していると、検問をやっているところにさしかかった。ところが、警官は彼が酒を飲んでいることを見抜けなかった。そのあと彼は事故を起こしてしまったわけであるが、「酒を飲んだ人間を見抜けずに通してしまった検問所の警官がたるんでいる。いちばん悪いのは警官だ。自分はむしろ“酒を飲んでいるのに検問所を通されてしまった”被害者だ」とほざいた彼は、警察を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、「もし賠償金が取れたら、事故の被害者の治療費や生活保障金に充てたい」と、まるで自分がいちばんよい人であるかのようなことを言う。

 ああ、わからん。おれにはわからん。やっぱり、四十も過ぎると、かなり脳が衰えてきているのにちがいない。ああ、おとといの晩ごはんはなんだったか思い出せない。100ひく7は……ええと、100ひく7は……ひゃ、100ひく7わっ――!?

|

« 鷲尾いさ子も若かった | トップページ | 今月の言葉 »

コメント

車輪のついたものを持ってればたとえ国道を走らなくても通行料契約を結ばねばならない。さもなくば法的措置に訴える。でも、他の道と区別するための料金所や柵を設けるのは「公共性に反するから」やらない、とかいう論理も...

投稿: 自分も自脳が心配 | 2006年2月 3日 (金) 11時19分

私は嫌煙者ですから、どの論理もよく耳にするありふれたものです。

投稿: よく聞く | 2006年2月 4日 (土) 08時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: おれには論理がわからない:

« 鷲尾いさ子も若かった | トップページ | 今月の言葉 »