蛋白質の呪縛
おれは、ここ二年ばかり、月曜から金曜まで晩飯にはずっとコンビニ弁当を食っている。なるべく栄養が偏らないように、カロリーを摂りすぎないように、限られたメニューの中から精選(?)して買うのだけれども、それでも奇妙な傾向が出てしまう。
コンビニ弁当には、栄養分の表示がありますわな。おれはどうしても“蛋白質が多くて脂質が少ないもの”を選んでしまう。「これはなかなかうまそうだな」と思っても、表示を見て蛋白質が少ないとなんだか損をするような気がしてしまい、結局、蛋白質の多いものを選ぶことになる。どういうわけか、おれの中には、蛋白質イコール上等な食いものという刷り込みがあって、同じ金を払うのなら蛋白質を食おう食おうとしてしまうのである。なんというか、蛋白質と聞くだけで、問答無用のありがたみがある。刺身を食うときなどでも、おれは中トロやら大トロやらにあまり魅力を感じない。赤身がいちばん得にちがいないし、いちばんうまいと思うのだ。経済的なやつである。
なんなんだろうね、これは? どうも、子供のころに“ビフテキ → めったなことでは口に入らない → ごちそう”というような思考のチャンネルが形成されてしまったことに関係がありそうだ。植物性蛋白より動物性蛋白のほうに、よりありがたみを感じるのも、そのあたりに根があるにちがいない。
これは一種の貧乏性なのだろうが、“ビフテキ=ごちそう”という連関が頭の中に刻み込まれてしまっている人は、昭和三十年代生まれあたりには多いと思うんだがなあ。おれが死ぬまでに一度は食ってみたい食べものは、『はじめ人間ギャートルズ』に出てくるあの“肉”、肉的なものを純粋に抽象化したような、あの肉肉した肉なんである。そこのあなた、あなたもアレ、食いたいでしょう?
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コメント
はじめまして
昔、CMで谷啓さんが「たんぱく質が足りないよ~」と
やってました。
僕の場合これがけっこう刷りこまれてます。
投稿: 石間 | 2006年1月12日 (木) 13時10分
>石間さん
テレビは相当観ている(というか、点けっぱなしにしている)んですが、そのCMは記憶にないですねー。関西ではやってなかったのかもしれません。あるいは、歳のせいで忘れてるのかもしれせんが(^_^;)。
私は「ハヤシもあるでよ」が刷り込まれてます。大むかしのCMなんですけど。だもんで、CMとかで、「○○もあります」と付け足しのように宣伝されると、その製品がなんであろうが、「ハヤシはないのか、ハヤシは」と突っ込んでしまいます。
投稿: 冬樹蛉 | 2006年1月12日 (木) 23時14分