『古畑任三郎ファイナル 第3夜』
『古畑任三郎ファイナル』の第3夜は、最終回(ほんとに〜?)にふさわしく松嶋菜々子が二役の「ラスト・ダンス」。ゲスト犯人と被害者が同一の役者である。
冒頭の劇中劇『鬼警部ブルガリ三四郎』(なんちゅうタイトルや)で、いきなり『溶ける糸』のパロディ。締めの台詞まで同じ(「あなたを逮捕します」 You're under arrest, sir.)。まあ、たしかに『溶ける糸』の落としかたってのは本質的にはああいうことであって、オマージュとも揶揄とも取れる。
双子が出てくるという設定そのもので、もう最初から「いま見ているこいつが、もう一方だと仮定したらどうか?」という目で見る癖がついてしまっているため、大枠はまったく驚くべきものではなかったが、最終回だけあって、そこへ持ってゆく作劇はじつに面白かった。『ブルガリ三四郎』打ち上げパーティーのバーのシーンで、松嶋菜々子がワイングラスの縁を指で拭ったところが、よもや手がかりだなどとは考えず、「あ〜、ねーちゃん、その手ぇどこで拭くねん、どこで」と、おれには純粋にやたら気になってしまったので(ま、このへんが女性と二人で酒を飲んだりすることがほとんどない者の“強み”だ)、カフェのシーンで大枠はほぼ確定。
センサー玩具の“ピンキー”の使いかたは面白かった。お約束の“今泉耐久レース実験”の見納めもあった。今泉と西園寺の推理が途中これ見よがしに冴えているあたりも、ドラマとしてのミスリーディングがうまい。
まあ、脳年齢が52歳の犯人が古畑に立ち向かおうとするところに最初から無理があるのだが、松嶋菜々子だから許そう。おれは、松嶋菜々子が両手に生茶パンダをはめて被害者を絞殺するシーンを(ちょっと)期待していたんだがなあ。そこまでやったら、完全にコメディになっちゃうもんなあ。
最終回ならではという部分がなかったのは、ちと不満であると同時に、まだあとがあるかもしれないという楽しみを残した。第一回の小石川ちなみの事件への言及があったのはご愛嬌。古畑はひところちなみちゃんちなみちゃんとうるさかったが、ひさびさに出た。唯一最終回らしいところだ。そんなに中森明菜が好きか、三谷幸喜。
ところで、“赤い洗面器を頭に乗せた男”問題がまだ片づいていないっ!
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