名のマシン
iPod がなぜこんなにヒットしたのか、決定的な理由がさっき唐突にわかった。
iPod の出現以前から、ああいうものはあった。だが、ああいうものをどう呼んだものか、みな、いまひとつ迷っていたのだった。「携帯デジタルオーディオプレイヤー」などというのもいちいちたいへんだ。「mp3プレイヤー」と呼ぶのも、なんだかほかの形式の音声ファイルに悪いような気がする。どんな呼び名も、いまひとつすっきりしなかったのである。
「ウォークマン」ってのは最高の名称だ。あまりに一般化してしまったため、「え、ウォークマン買ったの? どこのウォークマン?」「松下」などというおかしなことを、みんな平気で言っていたものだ。
携帯デジタルオーディオプレイヤーには、問答無用でみなが口にしはじめるような決定的な名称がなかった。これは普及には不利だ。だから、iPod が出ると、「ああ、ああいうのは iPod というものだったのだ」と、誰もがほっとしたのにちがいない。そのうち、アイリバーの iPod とか、リオの iPod とか、クリエイティブメディアの iPod とか、わけのわからないことを言う人がめきめき増えてくるのだろう。
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