エリー・クリスマス『ウルトラマンマックス』
『ウルトラマンマックス』、今回は「クリスマスのエリー」。これまたじつに太田愛太田愛した(笑)脚本である。『ウルトラマンコスモス』の不朽の名作「雪の扉」のバリエーションという感じのクリスマスストーリー。ゲストは犬塚弘で、“ペテン師博士”と呼ばれる老科学者を好演。まあ、この人も特撮に欠かせないとぼけた名脇役ですなあ。
むろん、タイトルどおり、エリー、エリー、全篇エリーである。もう、それだけでよいわい。やっぱり満島ひかり、なかなかうまいな。すっかりアンドロイド役が板についている。
「雪の扉」の老人は、しあわせだった過去の時間の中にいる自分を眼前にして、自分はもうあそこには還れない、還れないからこそあの時間は貴重なのだと満足して消えてゆくが、今回の老科学者も、時間から時間へと旅する幻獣を現在に留め置こうとすることの愚を最後には悟る。その代わり、過去からのかけがえのない贈りものを受け取るのである。これらは同じテーマの変奏だ。
“時間というもののせつなさ”は、太田愛がとくにこだわるテーマのようで、時間の残酷で悲劇的な側面と、すべてを許し癒す側面とを必ず両義的に投げ出して、結局はハッピーエンドに持ってゆく。哀しくてもハッピーエンドなのである。そういう意味で太田愛は、非常に梶尾真治的だ。太田愛脚本で、カジシン作品を映像化すればいいのにと思うのだが、まあ、太田愛が梶尾真治作品を読んだことがないとはとても思えないから、そのうちそういう機会もあるかもしれない。
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