新旧発明担当の遭遇『ウルトラマンマックス』
今回は、ウルトラ敬老会シリーズ(勝手に名前をつけるな)、二瓶正也(『ウルトラマン』の科学特捜隊・イデ隊員)が、“ヘンなものを発明する”科学者・ダテ博士として登場。黒部進、桜井浩子、二瓶正也の“むかしの写真”まで出てきた。ある意味、彼らは役者冥利に尽きるだろうなあ。ちょっと、羨ましい。
なにを隠そう、まあ、たいていのSFファンはそうなんじゃないかと思うが、おれは科学特捜隊では、子供心にイデ隊員がいちばん好きだった。“カガク”とかいうなにかを用いて、謎を解明したり、いろいろなものを作ったりする。ほかの隊員とは一線を画していた。また、妙にナイーブで、大人なのに子供みたいなところを持っている。子供にはいちばん感情移入しやすい隊員なのだった。それにしても、腹が出たねえ、イデ隊員、いや、ダテ博士。
トミオカ長官(黒部進)が大活躍。下手すると、ハヤタ隊員だったときよりかっこいいくらいである。「ひょっとしたら……」くらいのレベルで、トミオカ長官がカイトがウルトラマンマックスなのかもしれないと思ったらしきことを匂わせる撮りかたになっている。これが今後どういうふうにストーリー作りに影響してくるか、ちょっと期待。平成ウルトラマンでは、たいてい防衛組織の隊長は途中でウルトラマンの正体に気づくパターンが定着しているけれども(『ネクサス』はすべてにおいて例外)、それは中盤から終盤にかけてであり、今回もしトミオカ長官がそれに気づいていたのだとしたら、異例の早さだということになる。
DASHにおける兵器開発担当・ショーン隊員が、やはりダテ博士に崇敬の念を抱いているという設定が微笑ましい。二瓶正也にしてみれば、「おお、キミが今風のイデか」みたいな感じだろう。ダッシュバード3(ということに、勝手になってしまったのだが)が潜航モードから飛行モードに切り替わるところは、けっこうメカとして見せるシーンになっている。
今回は、カイトとトミオカ長官(ハヤタ隊員)、ショーンとダテ博士(イデ隊員)という“世代”をうまく見せた構成となっている。どうせなら、ミズキとヨシナガ教授(フジ隊員)のペアを引き立てるシーンも欲しかったところ。このあたりは、もしかすると、『ウルトラマンマックス』が『仮面ライダー響鬼』的なものに、よい意味で影響を受けているのかもしれない。
自分たちの世代の環境破壊が残した負の遺産である怪獣に関して、自分たちがおとしまえをつけたいとするトミオカ長官の“持論”には、日本の高度成長期からバブル期あたりにかけての価値観が、おれたちの世代以降から“社会的な怪物”を相当生み出していることに関して、ハヤタ世代が抱くかもしれない思いを代弁しているようにも思われる。だとすると、怪物扱いされる世代としては複雑な思いもあるが、ハヤタ世代の責任感ある人がそういう思いを抱くことについては、わからんこともないよ。べつに抱く必要もないとは思うんだけどね、おれは。
今回はエリーの出番が少なかったのがちょっと不満だが、まあ、ウルトラ敬老会の回なので、いたしかたない。
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