世界一不運な男?
会社帰りの電車内であった。おれは補助席に座って本を読んでいた。ふと気づくと、どこからともなくシンナーのような揮発性の刺激臭がしてくる。なんだこれは? あまりにも電車の中に似つかわしくない臭いだ。すわ、テロか!? サリンか、VXか!?
あたりを見まわすと、なんとおれのすぐうしろで、どこぞのバカ女が堂々と手の爪のマニキュアを塗っている。塗っているなんてもんじゃない。ちょっとしたお店を広げて、なにやらややこしい加工(?)をしている。
アホか、おのれは!? あたりに立ち込める揮発臭に、おれはちょっと気持ちが悪くなってきた。怒り狂ったおれは、不敵な笑みを浮かべて "Yippie-ki-yay, motherfucker!" とつぶやくと、火の点いたライターをバカ女のこぼした液体に投げ落とした。雪の滑走路を青白い炎が一直線に駆けてゆき、いままさに国外へ飛び立とうとするバカ女めがけて吸い込まれるように翔け上がったかと思うと、バカ女は巨大な火球と化して爆散した!
……といった光景が一瞬おれの頭をよぎったが、おれは黙って本を読み続けた。
♪Let it snow, let it snow, let it snow...
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