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2005年3月19日 (土)

物語の起源

 たとえば、会社を辞める人が職場で花束をもらって帰る途中、ちょっと飲みに繰り出して、道端に花束を置き忘れたとする。翌日、花束を忘れた彼なり彼女なりは、あらら、失礼なことをしてしまったなと思いつつも、わざわざ探しにいったりはしないだろう。

 じつはそのころ、花束はふたつに増え、三つに増え、傍に線香が立っていたりする。三日もすると、カップ酒やらカールやらおはぎやらドラえもんのぬいぐるみやらが加わっており、地元の人は「あそこでなにがあったんだろう」と思いながらも、とにかくいろいろお供えものを持ってゆくようになっている。

 やがて、あそこでそれはそれは悲しい事故があって……と、どこかの小学生が想像で言い出した話に尾鰭がつき、ブログやら2ちゃんねるやらを通じて、たちまち世界中に伝播する。その“親孝行な美少女の話”を知った外国の篤志家から町長に大金が送られてきたり、雑誌やテレビが取材にきたりして、ついに市から金が出て祠が立つ。

 その祠に触れたカップルはしあわせになるといったようなどこかの中学生が勝手に言い出した話に尾鰭がつき、これまたたちまち世界中に広がってゆく。すっかり観光名所となったその祠付近には、お洒落な店がたくさんできて善男善女老若男女が群れ集い、土地の値段もぐんぐん上がってゆく。

 そして、ある朝、いつも祠の掃除に来ている老人は、祠の土台に、昨日まではなかった見慣れぬロゴマークを見つけて愕然とするのである――「livedoor

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